【短編】とじようの現実郷

エッセイと俳句。 最近はたまに小説。 人質を解放してください。

べべを買う

友人や先輩とお洋服を見に行くのが好きだ。特にここ数年は古着屋に入り浸っている。

インターネットで探せば好きなデザインの服は見つかりやすいし、いつでも見られるので便利である。でもやっぱりサイズ感や色味、質感が分からないし、届いてからイメージと違うことがあるのでその点では宜しくない。デカめのサイズ買うとくか〜、デカいの流行ってるしな、という理由で何も考えずにデカお洋服を買っている節がある。

 自分の足で探す感じや一期一会な感じもいい。

 妹とお洋服を見にいくこともごく稀にある。私の妹はセンスがいいので、兄妹ということもあって、ズバズバと歯に衣着せぬ物言いをしてくる。衣だけに。それがめちゃくちゃ助かっていて、1人でお洋服を見に行った時、決め手にかける時や色で迷っていれば連絡することもある。最後の方になってくると、いいんちゃう?しか言わへんマシーンになるのだが。それも兄妹ならではな感じがする。

 最近になって気がついたのだが、私はどうやらこだわりの強い方らしい。

 髪型のこだわりを少し見せると美容師と揉めるし、服装のこだわりを見せるとアパレル店員と揉める。別に喧嘩腰ではないねんで?

な?

え?

 「コーディネートはこうでねえと」みたいな店員と揉めた。

 その日は可愛がってもろてる先輩と仲のいい同期と古着屋に行った。その先輩はオーバーオールというお洋服を試着をしており、そのお洋服はニットと合いますよーと言われていた。

 私はそのニットがシンプルに気に入らなかった。ファミリーマートのカフェラテみたいな色のデコボコしたデザインの3Dニットだったように思う。3Dニットで攻めた感じを出しているくせに、色はファミマのカフェラテという無難な色で、白みがかっており、何がしたいのかよく分からないニットだった。普段先輩が着ているお洋服と少しイメージが違うし、ニットを着ているところを見たことがなかったため、半端ない違和感だった。仲のいい同期が女の子みたい!と爆笑するほどである。

 「いやそのニットはあんまり良くないですよ。」

「私はお客さんにめっちゃ似合ってると思いますけどね。」

「いや違和感やばいですって、普通になんかダサい。」

「それはお客さんがオーバーオールが嫌いなだけじゃないですか?」

「いやいや今日オーバーオール見に来とんねん」

「まあ最終的に決めるのは試着してるお客さん自身なんで」

 

 結果そのニットは購入に至らなかったのだが、一悶着起こしてしまった。試着だけに。

 店員なのだから価値観の違いから生まれるある程度の意見に対して強気で反論してくるべきではないと思う。オシャレの価値観なんて人それぞれだ。そんな店員は服役して欲しい。お洋服だけに。

「コーディネートはこうでねえと」なんて誰が言い出したのだ。オシャレは限りなく自由だ。こだわるもこだわらないも自由であるし、それをとやかく言われる筋合いもない。

 私と揉める自信のある店員さんは話しかけてこないでほしい。

 オシャレは際限なく自由で、人類(約80億)(多いね)の数だけ価値観があり、執拗に口出しすべきでない。

 

コーディネートはこうでないとならない。